【ラノベ】人狼ゲーム

辺に凝ってない分良かったと思います。
ベーシックなルールを覚えるにはちょうどいい感じだったかなと。

ランク3.0


日本では「汝、人狼なりや」で親しまれているゲームを題材とした小説です。
（以下人狼ゲームと呼称を統一します）

私としては土橋先生の「殺戮ゲームの館」以来の人狼ゲームです。

土橋先生のはたしか、本文内では元ネタについては特に触れていなかったように記憶してます。
人狼ゲームを知らない人は元ネタを知らないまま読み終わるかと思います。
しかし今回のは、参加者が人狼ゲームだとわかった上で殺し合いをさせられます。
土橋先生のはもちろん心理描写がとてつもなく生々しくえげつないのですが、
今回のは比較するとあっさりしていた印象です。
（それでもあとがきでは心理描写についてコメントがありましたが）

正確には亜種の預言者付きのバージョンです。
（人狼ゲームについては詳細には説明しませんのでggrks）

前提条件
・人狼は二人（お互い知っている）
・預言者は一人（1日に一人、希望の人物の正体を知ることができる）
・人狼は夜に一人を殺す
・村人は昼に一人を投票で殺す（村人に化けた人狼も含む）
・何れかが全滅するまで続く
・数珠つなぎで恨みのある物同士があつまっている。

以下激しくネタバレ

攻略のTips
・序盤のお互いをよく知らないうちは人狼同士はお互いに投票を避ける

これはなるほどなーと思いました。
後半なら敢えてフェイクでやるかもしれませんが
前半の扇動できない不確定要素が多いうちは、お互いに投票は避けざるを得ないです。

村人、人狼関係なくお互いに恨みを持っているっていうのはどちらかと言えば攻略情報でしたね。
村人同士で殺したいっていう感情を起こさせて場を混乱させるっていう表向きですが、
人狼としては夜殺せばいいんだから、逆にあそこまで感情を高ぶらせて憎む場合は
人狼ではない可能性が高い。っていうヒントになっていました。

しかし人狼側だって負けてません。
預言者の絡みはうまいなーと思いました。
預言者は人狼側からしたら真っ先に狙うべき存在です。
自分が預言者だと言って人狼を一人まつりあげても、人狼が残っていた場合には
その夜に殺される可能性が高いです。
①Aさんが自分は預言者だと言い、Cさんが人狼だと主張する
②Bさんはそれをみて自分が預言者だと言い、Aさんが人狼だと主張する
予言の方法についても嘘はなさそう。
どちらを信じるか？
という問題がありながら実は一択しか無いこの問題

今、すべての話が正とした場合
Aさん：預言者・人狼
Bさん：預言者
Cさん：人狼

状況的に双方が嘘をつくとは思えないので
いずれかの主張は正だとする。
すると、情報のない人から見たら
もう確率論でCさんを殺すのが一番効率がいい。
となってしまうわけです。

と一見見えるのですが、
もしAさんが人狼だった場合にはすべてが崩れます。
そう考えればAさんが人狼である確率とCさんが人狼である確率は等倍なのですが、
場の流れがその等倍の確率を変化させます。

Aさんは、夜殺されるとしても人狼を一人確実に減らしたい。
と主張すれば、いかにも正当な理由のように見えます。
そしてこのはなしのミソはココなのですが、
人狼が予言の方法を知っているという点です。
話としても本当っぽい。
むしろ人狼が先に自分が預言者だと主張し、
その予言の方法まで説明すれば、
後から主張した預言者は予言の方法については繰り返しの説明しかできず、
さも、Aさんの主張を真似した。と怪しい目で見られるわけです。

さらにいえば人狼側からすれば本物の預言者を釣り上げられる。
という超必殺技なわけです！！

説得力を高めるためにも
村人たちがある程度殺されて、打開策を探している頃合いに繰り出すと、
もう殆ど決まった結末を導けます。

ではなぜ、人狼が予言の方法を知っているかというと、
それは2週目というこのゲームの運営のされ方が関わっているからです。
村人として生き残った場合に、同じゲームに再度人狼として参加させられる。
という構造があります。

よって人狼は一度地獄を見てきているので、
このゲームについても熟知しているのです。

なので預言者と人狼は
このやりとりで、お互いの正体をもうほとんど把握します。
あとは多数決を得るために、如何に周りを信じこませるか。

逆に考えれば、人狼としてはこの預言者の件はメリットが多いので、
1番目に預言者だと主張する人が怪しい。とも言えるのですが。
いよいよ裏の裏の裏を読むような展開になって、
考えれば考えるほど疑心暗鬼になるだけです。

あらためて人狼ゲームの奥深さと巧妙さ
そして深く疑い始めると疑いは常に等倍なので
如何に話術と振る舞いが左右するゲームかっていうのが分かりますね。

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