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生贄のジレンマとくらべるとゲーム的な要素はかなり薄く、
人間の心理にフォーカスを当てた作品になっています。

(土橋先生の作品は好きなのでいっぱい書きます。ただの自己満)
ランク4.0


ので、「人質ゲーム」と言うゲームを掘り下げるって言うワケではないです。
タイトルにもカブる言葉ですが、ゲームとしての駆け引きの面白さは今回なし。
あくまでギリギリに追い詰められた人間の意地汚い本性を描いた作品です。

色々絡み合ってそうですが、今回の主題材は
「看守と囚人」(スタンフォード監獄実験)
と思われます。
人は役割を与えられるとそれを演じてしまう。
といったような内容のものです。
本作品も、もとは同じ生徒という立場がありながらも、
徐々に看守と囚人という立場にハマっていく様が描かれています。
が、本当に犯罪をして囚人になっているわけではないので、
理性と正義と役割の板挟みになっていく様もエグく描かれてます。

人質ゲーム:人質及び犯人は自分。
自分の命を人質にして、要求を通すゲーム。
つまり「いうこと聞いてくれなきゃ死んでやる」
をリアルに行うこと。
これを補佐する集団があるらしい。
現状、警察は後手に回っていて、これを取り締まることができていない。
※あくまで本の中の設定の話です。


あらすじ(冒頭ちょいネタバレ):
過去に人質ゲームが行われ、交渉が受け入れられずに命を落とした生徒がいるとある学校。
文化祭の予行演習にあたる日にステージ上で突如行われた「人質ゲーム」
暗い過去を背負う生徒たちは、人質(犯人)を救おうと立ちまわった。
ゲームを起こした学園一のマドンナが要求したのは「謝罪」だった。
前回の人質ゲームの交渉相手は「人殺し」の烙印を押され、いじめに会い、
そしてついには自殺した。
これを許した学校・見て見ぬふりをした生徒全員に彼女は「謝罪」を要求した。
ひとつ、共感の意思を示すバンドを最低100人は手首に巻くこと
ひとつ、先生は謝罪をすること
そして、最後に要求したのは「10人の生贄」だった。

・・・やがて時間切れとなり「人質ゲーム」は失敗した。

しかしゲームはまだ終わっていない。
あとに残ったのは100人の人質と要求された10人の生贄

バンドには致死性の毒が仕込まれていて、
無理に外そうとすればこれが作動し死ぬ。
ゲームのクリア条件は2つの「いずれか」
ひとつは生贄を捧げること
もうひとつはバンドを外す装置に数時間軟禁されること。
ただし、バンドにはボタンが有り、これを押せば装置に繋がれた人間が死ぬ。
生贄として捧げることが出来る。
10人の生贄か
100人の軟禁か

命のかかったこのゲーム、
当然100人が全員善良であればいいが、
(それだと作品として面白く無いので)
色々な立場とリスクと心理が絡み合っている。

序盤の開放は精神的な安息を直ぐ得られる代わりに、
ボタンの数が多くリスクが高い。
また、10人の生贄が示唆される中、さっさと10人殺せば終わりだろう。
と考える人がいたら餌食にされてしまう。

後半の開放はボタンの数が少なくリスクが低い。
しかし精神的なプレッシャーは長く続く。
人質開放に失敗した際には疑われるリスクも有る。


以下激しくネタバレです

この話を読む上で把握しておきたいのは
役割を演じるグループです。
構成的には「楽園島からの脱出」と似ているので、
そちらのはなしも加味しながら、
登場人物と彼らが担う役割について考えてみます。



高城・望月組(メインの主人公)
墓参りで当初は不参加だった生徒(高城)。
来年入学予定だった妹が学校に居たため人質ゲームに巻き込まれてしまった。
特例により途中参加が認められ、人質ゲームの序盤を主導する。
表面は全員救済を取り繕うが本心は妹を救えればそれでいい。
当初は順調に人質開放を進めるが、
気が緩み命を盾にいろいろな要求を押し通す人質の行動を制御できずに失敗を招く
責任を問われ一時追放される。
過去に父が警察沙汰になった経緯があり、人殺しの息子として烙印を押され、
幼少より理不尽な扱いを受け続けてきた。
一方の望月は傍観者的な立場。
構内のありとあらゆる情報を扱っていた情報部の部長。
アイドルやスターを祀り上げるようなことも行っていたらしい。
高城をサポートするも、時には自衛のために高城を盾にすることも。


小倉組(不良集団)
こういう作品には必ずと言っていいほど居る、場を乱す暴力の権化
日常の治安が安定した中では大きな行動にはでないが、
外界からの圧力が消えると幅を利かせる。
暴力で意見を通し、恐怖で場を支配する。
誰も反抗できないのでMOB達のストレスの原因となる。
副次効果としてそのストレスの矛先は弱者へと向くパターンが多い。
今回で言えば高城を糾弾できる大義名分を得た時にこれが爆発する。
純粋な暴力組はなかなか死なないが最終的には何かのペナルティがあることが多い。
読者をムカつかせるのも彼らの役割なので・・・。


朋美・人質組(正義と人権)
またまたこういう作品には必ずと言っていいほど居る、正義と人権を盾に
大衆を味方につける人達、もしくは代表者。
今回は人質組がこれに当たるので規模はそんなに大きくない。
力のない弱者を大量に味方につける傾向があり、暴力に屈するパターンが多いが
その絆を深めやすい。人がみな善良だと信じ信頼しあう。
が、必ずバグがいるので裏切られて崩壊することが(小説としては)多い。
バグが起こす行動として多いのは「復讐」。
規模が大きくなったり、強力な交渉カード(例えばライフライン)があり力をつけると、
暴力に屈した恨みを晴らしたり、多数決の力で正論さえも感情論でねじ伏せる。
今回で言えば「私達の命がかかっている」と前置きすれば大体の要求が通る。
皮肉にも自分たちの命を交渉カードに使って人質ゲームを知らずにしている。
はじめは上手く機能しても多数派になるとその権力に食われて横暴になる事が多い。
そして代表者はそれを制御できずに失墜することが多い。
次点でバグの起こす行動として多いのはあやまった「先導」
代表者が居るにもかかわらず気の大きくなった、不良には及ばずともちょっと強い人たち。
小倉組が学校という枠組みの中での暴力の頂点であるなら、
こちらは人質組という枠組みの中での暴力の頂点。第二の暴力の権化と言っても良い。
不良組に負けた経緯も持ち合わせているので、同意を得やすく集団をグループ化させる。
要は、はけ口を「同じグループ内の弱者」へと向ける。
今回はわかりやすい高城の妹がいたために、「1対その他」という最悪なグループ分けを起こした。
代表者としては、
友達を信じようみたいなことをしきりに訴えるデキスギ君タイプ(たいてい男)
事ある毎に交渉カード(命)を盾に感情論で喚くタイプ(たいてい女)
皆で話しあおうとして責任を投げるタイプ
とにかく牛歩バリに場を遅延させる事が多い。
色々なバリエーションがあるが
ひとことで言うと「俺達」


高城の妹(ひとり)
高城の家族とはいえ学校という枠組みから見たら
この人質ゲームにおける唯一の部外者
異質・異端・悪意の標的
じつは2転・3転するまさにジョーカー。


神田理沙・スポーツ部組(治安維持)
揉め事が増えて手が付けられなくなると自警団的な組織が発足する。
今回で言うと人質ではないちょっと強い人たちの集まり。
不良ではないのである程度の理性を備えている。
停滞した場を進ませ、ある程度は人権を考慮してくれて、
それでいて人数でもって全体的な制御を行う。
まるで軍隊のような毅然とした集団。
いままでの失敗を顧みて対策をとる事が多い。
故に反論の切り口は「前回そうやって失敗しただろうが」と言って、
相手の意見をねじ伏せる。
やっていることは正しくてもその手法に共感を得られずに
大体「一揆」のような事が起こる。
今回は高城が失墜した後に主導権を握った。


本作品は人間の本性をコレでもかと浮き彫りにさせます。
そして今まで以上に読んでいて胸糞悪い作品です。
・大衆が求めているのは正論ではなく謝罪とそれに対する満足感
・自ら行動はしないが、行動した人の失敗は全力で責める。
・いくら正論でもとにかく謝罪させて鬱憤を晴らさない限り次には進まない。
あれ?でもこれって今の社会と同じじゃね?
っておもうと、もっと胸糞悪くなってくる作品です。

もちろん著者に対してではなく、作中の人物に対してです。

こう、マイナス方面に心を動かす作品ってのもなかなかないですよね。

しかし、今回は人質はひとりひとりを縛り、監視して、ボタンを押せないようにして、
(押したら誰がやったかわかるように)
強制的に人質開放するのがやっぱり正解かなと思いました。
作品内でもやっぱりこれを行ってますが、上手く行かなかったですね。
人権ガーとか友達を信用出来ないのかとか色々言いますが、
「自分が開放の順番になった時に、自由にボタンが押せる状況とそうでないのはどっちがいいか?」
って問えば大体、強制的にでも縛られている方が安心できると思うんですよね。
ならば開放でない時は縛られて監視されるのも受け入れるべきかと。

でもやっぱり腕輪を付けてない人たちに主導されるってのが気に食わないかなぁ。
だからやっぱり序盤の皆が協力的なときに、やんわりと
ボタンを監視できる体制を作っておくべきだったんじゃないかなと。

大事なのは「全員の命」なのだから
そのためには信頼とか信用とか人権は邪魔にしかならないです。

って100人全員が割り切れるわけないんでしょうけどね。

ってことで暴力による抑圧ってやっぱ必要だと思う。
核兵器を持ってやっと対等のテーブルにつけるみたいな。
お互い同時に捨て去れればいいのだけど、
それこそ囚人のジレンマで、チキンゲーム。
捨てたほうがバカを見るみたいなことになりかねない。

理想とキレイ事だけでは損をするだけっていう現代の縮図です?。




さて、土橋先生の作品もかなり増えてきましたが、
正直、人間の心理描写の展開がお決まりパターンになりつつあって、
ちょっとマンネリ化している気もします。
グループ分けすると特に、もうお決まりパターンになってるなぁと感じます。
(ジレンマシリーズ?なので心理描写にフォーカスしているのは当たり前かもですが)
もっと扉の外とかツァラトゥストラへの階段のようなゲーム性の高い
ギミック満載の作品を読みたいですね。
おっぱいチケットゲーム読まずに先にジレンマ読んじゃったから、
そっちでそういう話書いてるかもしれませんが・・・。
タイトルからしてアホっぽいので期待してます。
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